96年9月SF Book Review


お陰様で、WIRED12月号から書評を載せて頂けるそうです。ご愛顧頂いた皆様、これからもよろしくどうぞ。

僕の部屋はラヴクラフトに再び占領されつつある。ニューイングランドに行ったことのある人、もしよろしければメール下さい。僕も行こうと思ってるんです。

東直己「向う端にすわった男」読了。「俺」にはまりつつある僕。

国会解散。あの連中は、失業するのにどうして万歳しているんだ。



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  • 宇宙のランデヴー3 上・下
    (アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー著 山高昭訳、早川書房、各640円)
  • 待望の文庫化。

    いまさら僕が言うまでもないことだが、記録的な文体で、人間存在を相対的に矮小化させ畏怖すら感じさせるほど圧倒的な「大きさ」の「もの」を描き出すクラークの力量は、圧倒的。後半、人間社会が描かれるあたりはジェントリー・リーによるものだろうが、こちらも気を持たせる。特にラストは…、これは、やっぱりまだハードカヴァーの4を買わないとダメなのか?
    ちくしょう、どうせなら一緒に文庫にしてくれよ〜。信条を曲げて単行本を買ってしまいそうな気がする。。。


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  • ガメラ2レギオン襲来 メイキング・オブ・G2
    (編集B−CLUB メディアワークス発行 主婦の友社発売 3980円)
  • この手の本はこの書評ページの範囲外なのだが、とある事情で書いてしまった(そして没になった)のでここに掲載。
    やっぱり俺、怪獣映画好きなのね。

    映画「ガメラ2」は期待していた程の出来ではなかったが「そこそこ」ではあった。CGIや数多くの合成で活用されたデジタル技術が大いに話題になった。本書にも合成過程は詳しく触れられている。デジタル技術が映画でどのように使われているのか、興味のある方には必読だろう。

    しかし、映画で実際に使われているのは多くの「アナログ」的な努力を積み重ねて作られたカット。その制作過程が良く分かる本でもある。怪獣映画に如何に多くの人手と手間と時間と金がかかっているか、本書をぺらぺらとめくって、改めて実感(それでも素材が足らなかったような気もするが)。

    「G2」の中で私が好きな絵の一つに、走行するジープの窓越しに、逆方向に進行するガメラを見るシーンがあるのだが、このシーン、実際には一番遠くにあるガメラは動かず固定、カメラに向かって手前のビル群を遠近で3列に分け、それぞれスピードを変えて動かす事によって撮影されている。
    要するにアニメと同じ手法だが、絶妙のタイミングとスピードで大規模なミニチュアセットを一斉に動かす事によって、実に自然な仕上がりのカットが生まれている。そういう努力が1カットづつ積み重なってシーン、そして映画全体が構成されている。
    偉大かな、アナログ的努力。

    何より、特に怪獣映画の場合、大画面・大音量で見た場合と、小さい画面で見た場合とで、映画の出来が随分違って見えるもんね。少々のSFXのアラなんか大画面の迫力だけで吹き飛んでしまう。

    教訓。怪獣映画はできるだけ大きな映画館で見ましょう。

    ISBN4-07-305165-2


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  • ハッカーと蟻
    ルーディ・ラッカー著 大森望訳 早川書房 720円)
  • なんか普通の話で、ややがっかり。決してつまらなくはないけど、これは400ページも行くような長編向きじゃないと思う。せいぜい100ページの中編じゃなかろうか。
    粗筋はあとがきを読んで下さい。
    ラストはなかなか面白いので、一気に読むのが正解。

    さて、あまり書くことがないので、その他思ったことを。
    本書には大きな技術的ブレイクスルーは描かれていないが、本書に登場したような人工生命が生まれるまで、どのくらいの時間がかかるだろうか?僕は意外と時間がかかりそうな気がする。チップの高速化も、今のままだと限界が近いみたいだし。。。単電子回路やナノテクノロジーを使ったチップが生まれるんだろうけど、実用化はいつだろうか。

    一方、VRの技術はもっともっと先へ行っているような気がする。少なくとも、ゴーグルや手袋ははめないんじゃないかな?手袋も結局はマウスの延長でしかないわけだから、ハッキングには向かないような気がするのだが。
    もっと画期的な新しい操作法がないものだろうか。そういうのが出てこない限り、結局はキーボードに負けると思う。


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