NetScience Interview Mail
1999/03/11 Vol.044
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【春山純一(はるやま・じゅんいち)@宇宙開発事業団 つくば宇宙センター
                   先端ミッション研究センター】
 研究:SELENE月探査計画、彗星研究

○NASDAの春山純一氏にお伺いします。
 8回連続予定。(編集部)



前号から続く (第7回/全8回)

[16: 彗星の中でどんなものができているのか]

○先ほど、彗星の中に生命の前駆体のようなものまである程度できていて、と仰ってましたね。それはどの程度のものが、できていたんじゃないかと期待されているんですか?

■分かんないですね(笑)。全然分からないですね。

○いろいろな観測や実験で、アミノ酸までは意外と簡単にできるらしいということが分かっていますね。で核酸はできないと。

■ええ。問題は次ですね。その次のステップです。それは是非研究してみたいなあと思っているんですけどね。実際に筑波大学の先生でそういうことを始めようとなさっておられる方がいらっしゃるんで。
 ただ、分からないですねぇ。どういうものができるんでしょうねえ。そこはまだ、完全にミッシングゾーンですねえ。逆に言えば、「地上ではそれは分からないから実際に行って取ってきた方が早いんじゃないか」という考え方はありますよね。

○コメット・サンプル・リターン・ミッションですか。

■そうですね。もしかしたら今度の<スターダスト>って奴が、持って帰って来るんで、それで分かるかもしれないですけど。

○彗星の軌道のあとを通ってすくってくる奴ですね。

■そうですね。でも、それも「乾い」ちゃってるんですよね。多分もう干からびちゃってるから、何が持ち帰ってこれるかは…。仮に有機物が彗星でできていても、太陽に何度も曝されていると、ちぎれちゃうこともあるんじゃないかと思うんですね。そうなると持って帰ってきても何を見ているか分からないですけどね。

○電子レンジに入れて出して入れて出してを繰り返したあとのものを見ているようなものかもしれない?

■うん…。うまくいけば逆にね、どんどん発展しているかもしれないですけどね。

[17: エウロパ]

○最近、一部の人がエウロパの生命の可能性について論じていますね。あれについてはどう思われますか。

■ええ、私もエウロパは考えています。東大の学生さんの人が中心になっていますが、エウロパを探査しないかと言ってますね。エウロパは面白い天体ですから。昔から面白いとは言われていたんだけど、本格的に考える時代かなあと思ってます。

○エウロパの生命の可能性でも、氷の下にバイオマットが、と言っている人もいるようですね。あれは全然おかしいんじゃないかと思ったりしたんですけどね。熱水鉱床の周囲にバクテリアマットがあるっていうんだったら分かるんですけどね。生命の可能性って話そのものは本気だろうと思うんですけど。

■ええ。

[18: 景気と宇宙探査]

○NASAの人達はエウロパ探査についていろいろ言ってますね。サンプルリターンから始まって、潜水艇を持っていこうという話まで。あれも「どこまで本気なのかなあ」と思ったところがあるんですが(笑)。

■分からないですね。これも時代の流れってところがちょっとあるのかもしれません。

○と、仰いますと?

■どこでどうなるか分からないんですよ。というのは、私がアメリカにいたころは、ちょうど95年くらいで、アメリカがまだ赤字の状態にあったんですね。一週間するとドンドン潰れていて、新しい建物が建っている、そういう時代だったんです。あの頃は円高で、$1=80円代。その頃はですね、アメリカの研究者はみんな、もの凄く自信を失ってたんですよ。「俺がいつレイオフされるか分からない」って。研究費もない、NASAの予算はどんどん削減される。宇宙科学は終わりだって言ってたんですよ。

○ああ、なるほど。逆に今は景気が良いから、アメリカも景気が良いことを言うってところもあるんですね。今のうちに言っておけっていうのもあるのかもしれませんね。

■うん、あるのかもしれませんね。そして実際に、景気が良いからやってますよね。例えば、火星探査機が知らない内にバカバカ打ち上がっているでしょう。

○そうですね(笑)。

■しかも小惑星探査機までバンと上がってますし、もうすぐエロスまで到達しますしね。「cheaper,faster,better」をコンセプトに掲げるディスカバリー・ミッションというのもありますし。一連の「cheaper,faster,better」ですね。実際に、凄く安くできるようになっている。定常的に探査機が打ち上げられるということになると、メーカー、企業も本気になりますからね。

○ああ、なるほど。

■ある程度ラインが出来てきちゃって、同じようなラインの上でどんどんできる。しかもその上で技術者が養成される、と、非常に良く回転しているわけです。

○日本もそうしなくちゃいけない、というのはあるんじゃないですか? 2003年に上げたら4年に上げて、また5年にも上げるという形で納税者の目を集めて。

■ええ、やるべきだと思いますね。それをやろうというのが<セレーネ2>でもあるんですね。宇宙研のほうはそれに近いんですけどね。宇宙研にはいくつかのグループがありまして、天文衛星と地球物理と超高層のグループが定期的に打ち上げる。そうすると学生さんとかが、大学に入るときにはちゃんとデータはある。だけど次の衛星も開発し始めている。だから開発でデータ解析というのが同時に行える。そうすると学生も伸びて行くし、研究者のグループもちゃんとやっていけるわけです。

○宇宙研のミッションだと、小惑星サンプルリターンっていうのがありますね (http://www.nao.ac.jp/nao_news/mails/000232などを参照)。あれが面白いなあと思ったんですけど。

■そうですね。

○データがあまりにもないので、何が出てきても面白いということなんでしょうね。
 でも逆にそのせいで、普通の人には何をやっているのかさっぱり分からない、そんなことにカネを出せるかっていうのがあるのかもしれませんね。通信衛星を上げるんだったらいいけど、ってことになっちゃうのかも。

■なっちゃいますね。もう少し分かりやすい広報っていうことをすべきなのかもしれません。アメリカの宇宙関係の宣伝って凄いですよね。強引ですよね。

○前に火星の隕石の話がありましたね。

■ええ。あのときは、日本の研究者はみんなクールな態度をとったんですね。それは科学者としては当然なんですけどね。ただ、あれを、宇宙探査にうまく繋げて予算取りをしようという政治屋さんが科学者の中にもしいたら、大々的に宣伝したでしょうね。「アメリカはこれだけ探査衛星を打ち上げる、日本もやらなくちゃ行けない!」とか言って。だけどそういうことはなかった(笑)。ある意味では正しいのかもしれないですけどね。

○(笑)。正しいのかもしれないけど、ひょっとしたら「間違い」だったかもしれないですね(笑)。宣伝材料としては。

■映画『ディープ・インパクト』とかもそうですね。うまく使えばね。しし座流星群もそうですね。

○そうですね。しし座流星群の時も「日本人ってこんなに星が好きだったっけ?」って思うくらいマスコミは取り上げてましたよね(笑)。

■うん、でもそれによってやっぱり夜空を見るんですよね、みんな。

○そういうことはやっぱり大切かもしれないですね。

[19: 月はステップ]

■私は生命の起源に興味があるんですが、月はステップだと思ってます。

次号へ続く…。

[◆Information Board:イベント、URL、etc.]

■書籍:
◇ジャン=マリー・ペルト『遺伝子組み換え食品は安全か?』本体1600円+税 工作舎
 豆腐、スナック菓子、サラダオイルなど、遺伝子組み換え食品の問題点を健康・エコロジー・経済の視点から総合的に洗い出す。
http://www.kousakusha.co.jp/

■イベント:
◇日本化学会第76春季年会・市民公開講座 3/28,29
http://www.t.soka.ac.jp/chem/nenkai76.html

■URL:
◇経口避妊薬(ピル)の審議に関する情報について
http://www.mhw.go.jp/houdou/1103/h0303-1_15.html

◇臓器移植に関する世論調査(平成10年10月, 総理府)
http://www.sorifu.go.jp/survey/zouki-isyoku.html

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