NetScience Interview Mail 2000/12/28 Vol.127 |
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【隅藏康一(すみくら・こういち)@東京大学 先端科学技術研究センター 知的財産権大部門・科学技術財産法分野】
研究:知的財産政策・知的財産法
著書:蛋白質核酸酵素・9月増刊号『再生医学と生命科学---生殖工学・幹細胞工学・組織工学』(共著、発行:共立出版)
『ゲノム創薬の新潮流』(共著、発行:シーエムシー)
ホームページ: http://www.bio.rcast.u-tokyo.ac.jp/~sumikura/
○知的財産政策・知的財産法の研究者、隅藏康一さんのお話をお届けします。
テーマは「科学技術と特許」。
ゲノム・プロジェクトやバイオ産業の進展とともに、いま科学領域内外から注目を浴びているジャンルです。(編集部)
[28:アメリカで特許が重視されるようになった理由] |
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○フェデラルサーキット?
■CAFCというのは、Court of Appeal for Federal Circuit、連邦巡回控訴裁判所というところなんです。それまではですね、特許の第2審というのは、各州で行われていたんです。つまり州レベル。だから判断がバラバラだったんです。それを連邦レベルで一つに集めまして、一貫して処理するようになった。そのために首尾一貫性がたかまった。
特許による保護にもいろいろあって、「強い保護」と「広い保護」っていうのは違うんです。
「広い保護」っていうのは、クレームを広く解釈して広い範囲にまで保護が及ぶことです。「強い保護」っていうのは一つ権利を持っていれば、訴訟が起こったときに多額の損害賠償を取れるということです。つまり、「広い保護」と「強い保護」は違うんです。
○ほう。
■まあそのなかで、すくなくとも強い保護は実現したんです。たとえばフィルムメーカー同士の訴訟でも、これまでだったら低い賠償額だったのがすごく高くなったりした。
○なるほど。
■そのため、産業界における企業戦略として特許というものがそれまで以上に重視されるようになったんですね。
○はい。
■そのなかでアメリカでは技術移転機関というのが80年を境に数多く設立されるようになりました。いくつかの技術移転機関は80年以前からありましたが、80年にバイ・ドール法というのができたんです。それまで、連邦政府が大学に研究予算を配分していた場合、その成果として得られた発明に関する特許権の帰属は、資金援助の助成元ごとに違っていたんです。それで多くの場合は国の省庁が権利を持っていたんです。それを、大学に権利が帰属したようにしたんです。
○ふむ。
■大学に技術移転機関をつくれば、大学が一括して特許を管理できるよ、という体制をバイ・ドール法が作ったんですね。バイ・ドール法は別に技術移転機関を作れといったわけではないんですけどね。
○つまりバイ・ドール法は、国の予算を使って大学の各研究者が得た成果を特許にする場合、その特許権は大学が持つ、ということを決めたわけですね。
■その通りです。それによって大学から産業界への技術移転が促進されたわけです。
[29: TLOは「技術の管理人」を目指すべき] |
○MPEGの話ですが、やっぱりそういう調査をしているということは、将来、東大なり、ここ(先端研の知的財産権部門)がそういうことを担うべきだとお考えなんですか。
○技術のコントロールですね。基礎研究を社会に出すとき、市場に出すときの。
○それが将来のTLOの形としてあるべきだと。なるほど。
現実的にはいまどういうレベルですか。
[30: 大学はTLOに対して何ができるか] |
■で、私は、大学がTLOに対して何をすることができるだろうかと考えたんです。大学は教育機関ですから、人材育成をしなくてはいけない。TLOというのは、今後発展したとき誰がやるんだという問題があるんです。
○なるほど。大学院生が集まってる場でなら「キミ、来ない?」って言えますからね。
[31: バイオベンチャーのビジネスモデルへの提案] |
○バイオって、研究者としてのある程度のキャリアと知識があれば、意外と企業設立への参入障壁は低いんじゃないかと思うんですけど。
○うん、ラボを作らなくちゃいけないとなると大変でしょうけど…。
■ある意味ではそうかもしれませんね。企業と大学の橋渡しをして、両者のギャップを埋めるような研究を、共同研究として提案し、必要な研究者も派遣するとか。どうかな、そういうのならあり得るかもしれませんね。
○機密を守ったりといったこともありますから、企業がアウトソーシングしたがるかどうか、という問題もあるかもしれませんけどね。
■ええ。ただ、すでに臨床試験とか安全性試験とかはアウトソーシングが普通であることを考えると、さほど抵抗感なく受け入れられる土壌はあると思います。
[32: テクノロジー・マネージャーとしてのライセンス・アソシエイト、TLO] |
○ライマースさんや山本さんは、ライセンスと技術のプロデューサーみたいな人なんですね。
■そうですね。単にライセンスをするっていうだけではなく、ビジネスプランまで立てられる人が求められているんです。そういう人だと良い業績を上げられますしね。
○この技術だとこの企業だとか、逆に企業から、いいのはないかと言われたときにパッと出せるような人。
○なるほど。技術そのものもマネージメントするし、技術者そのものもマネージメントしていって、産業界に積極的にアプローチしていく…。
○その観点はありそうでないんじゃないですか。そのノリだと文部省や科学技術庁というより、通産省的なセンスですね。
○でもその記事を書いた人の気持ちも分かりますよ。動いているように見えないんですもん。これからは動いていくだろうと?
[33:科学技術と社会の接点になりたい] |
[◆Information Board:イベント、URL、etc.] |
■URL:
◇NASDA iモードホームページ
http://mobile.nasda.go.jp/
◇平成12年度運輸白書
http://www.motnet.go.jp/hakusho/heisei12/index.htm
◇国勢調査 概要
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/youkei/index.htm
◇循環型経済社会推進研究会報告書 経済企画庁総合計画局
http://www.epa.go.jp/2000/e/1222e-junkan-houkoku.pdf
◇21世紀の暮らしについてのアンケート結果 Hi-HO マーケティングサービス
http://research2.hi-ho.ne.jp/result/21kurashi/
◇2000年化学ニュース Chem-Station
http://www.chem-station.com/yukitopics/2000news.htm
http://www.chem-station.com/
◇ライブ!エクリプス、
2000年1月10日(水曜日)未明に観測される皆既月食をインターネットで生中継予定
http://www.live-eclipse.org/
◇オンライン書店bk1科学書売場(http://www.bk1.co.jp/s/science/)
2000年総括 ~今年の科学書概況とbk1売り上げベスト50~
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_top.cgi?tpl=dir/01/01080000_0031_0000000001.tpl
◇科学技術者のための総合リソースガイド・NetScience
http://www.netscience.ne.jp/
*ここは、科学に関連するイベントの一行告知、URL紹介など、
皆様からお寄せいただいた情報を掲示する欄です。情報をお待ちしております。
基本的には一行告知ですが、情報が少ないときにはこういう形で掲示していきます。
なおこの欄は無料です。
発行人:田崎利雄【科学技術ソフトウェアデータベース・ネットサイエンス事業部】 編集人:森山和道【フリーライター】 |
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