「Newtype」掲載原稿


アニメ雑誌の月刊『Newtype』に連載していた<森山和道のサイエントランス>原稿。2003年04月号〜2004年03月号まで、一年間無事掲載されて終了。アニメに何の関係もない話を一年間続けさせてくれた編集部に感謝。

最初依頼されたとき、何を書こうか迷った。僕が書かせてもらったコーナーは、基本的に構成作家や漫画家さん、監督など、実際のアニメ作りに携わっている人たちが書くところで、業界人じゃないのは僕だけだった。で、僕自身は最近のアニメは(深夜にオンエアされる一部を除いて)ほとんど見てないわけで、アニメの話は書けない。そして、編集部も僕にそういうのを求めて依頼してきたわけではない。以前にも科学ネタのコラム連載はあったんだそうな。だから気にせず科学ネタを書いて欲しいと。それは分かっているのだが、かといってアニメ雑誌でアニメに関係ない話をしていいのか、とかなんとか、僕なりに色々と悩んだのだ。

だが結局、開き直ることにした。どうしてかというと、自分自身が子供の頃読んで記憶に残った記事は、往々にして、その雑誌が主に扱っていたテーマとは全く違う話だったりしていたことを思い出したからだ。そこで自分なりに、「なんだか良く分からないけど、妙に心に引っかかる記事」みたいなものを目指したつもり。どこかに引っかかってくれることを期待して。少なくとも僕は、そういう記事に大なり小なり影響を受けて今日に至っている。昔読んだ、ちょっとした記事が妙に心に残る、そんな経験は誰しもあるのではなかろうか。心に引っかかるかどうかは、読み手の状況次第だ。ともかく、時に文章は、書き手の意図を超えて読み手に影響を与えることがある。それを期待することにした。

難しめの言葉も敢えて使った。僕はそうやって知らない言葉に出会い、その言葉の意味を覚えていったから。

そうは言ってもアニメ雑誌なので、最初は「下ネタ+ダジャレ系」のタイトルと内容でいこうと思っていた。でも途中からあっさりその方向はなくなってしまい、最後のほうの話はちょっと難しく書きすぎたと少し反省している(なにせ周りの人たちは普通の日記みたいなことを書いてるのだ。彼らは有名人なので、それでも十分にコンテンツになるのである)。

途中、編集部から聞かされた評判は悪くなかったようだが、それははじめのころに原稿に対するもの。後半はどうだったのだろう。実際の読者−−中学生たちらしい−−が、どんな印象を受けていたのか、よく分からないのが残念だ。ま、数万人の読者のうち、数人が引っかかってくれればそれで十分だと私は思っている。




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